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コラム

2022.09.09

労働時間の定義と適切な管理方法について解説します

労働時間とは、雇用主の指揮命令下で被雇用者が会社のために働く時間のことです。休憩時間は労働時間の中には含まれません。また労働時間は、労働基準法によって上限時間が定められており、雇用主は遵守する必要があります。従業員の労働時間を適切に管理するためにも、正しい知識や管理方法をしっかり把握しておきましょう。そこで今回は、労働時間の基本や適切な管理方法について解説いたします。

労働時間とは?

労働時間と勤務時間は似ている言葉ですが、その定義は異なります。勤務時間とは、企業が就業規則で定めている始業から就業までの時間を指し、一方の労働時間とは、勤務時間から休憩時間を除いた時間を指します。例えば、勤務時間が9時から17時までで、休憩時間が1時間与えられている場合は、勤務時間は8時間ですが、労働時間は勤務時間から1時間差し引いた7時間になるというわけです。

また労働時間は、所定労働時間と法定労働時間にも分けられます。所定労働時間は、企業ごとに決めている労働時間(法定労働時間内で自由に設定可)であり、法定労働時間は、労働基準法で定められている労働時間(週40時間、18時間以内)のことを言います。さらに実労働時間や拘束時間といった区分もあります。実労働時間とは、実際に労働に従事している時間のことで、休憩時間は含まれません。一方の拘束時間とは、休憩も含めて会社に拘束されている時間のことです。

こうした中、製造業における着替え時間が労働時間に含まれるかという論点があります。例えば9時から始業の製造現場において、10分前に更衣室に入り作業着に着替えた場合、この10分は労働時間に当たるのでしょうか。もしも製造現場専用の作業帽や上下作業着、靴などを着用しないと、安全上・衛生上等の理由から労働ができないとされているような場合は、着替えること自体が使用者の命令といえるでしょう。したがって着替える時間も労働時間と捉えることができます。例えば、三菱重工長崎造船所事件(平成1239日最高裁判所第一小法廷)の判例でも、「会社から行うように命令されている」あるいは「社内でせざるを得ない」のどちらかの場合は、「指揮命令下に置かれている」と判断されました。

 

休憩時間や残業時間の考え方

労働時間を正確に把握するためには、休憩や残業についても正しくマネジメントしなければなりません。休憩時間は、労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間与えなければならないと規定されており、また休憩時間に対して賃金を支払う必要はないとされています。

一方、残業時間に関しては、法定内残業と法定外残業の2種類があり、法定内残業とは、所定労働時間を超えているが法定労働時間は超えていない残業のことを、法定外残業とは、法定労働時間を超えた残業のことを指します。また、残業時間に対する賃金については、法定内残業の場合、所定賃金を支払うだけでよいとされていますが、法定外残業の場合は、所定賃金+割増賃金を支払う必要があるため注意が必要です。

 

労働時間を適切に管理するには?

労働時間を管理する方法としては、出勤管理表やタイムカード、エクセル、勤怠管理システムなどが挙げられます。それぞれどのような特徴や、メリット・デメリットがあるのでしょうか。

出勤管理表

従業員自身が管理表に記録して管理者へ提出する方法です。自分自身で記録するため正確な時間を管理できるのがメリットですが、一方で管理者にとっては勤務時間の合計を計算したり、記録された内容が正しいか確認しなければいけないなど、手間や時間を要します。

タイムカード

従業員自身が専用機器を使ってカードに打刻する方法です。簡単で使いやすいことが利点ですが、不正打刻や打刻ミス、紛失などのリスクもあります。また量がかさばるため、大量のタイムカードを正確に保管する手間も要します。

エクセル

関数を利用して勤務時間を計算する方法です。入力するだけで勤務時間が計算できるので、集計しやすいというメリットがあります。しかし入力ミスや不正入力のリスクがある点や、保存場所がわからなくなってしまったり、誤ってデータを消去してしまうといった恐れもあるので注意が必要でしょう。

勤怠管理システム

そうした中、昨今は勤怠管理システムを導入している企業が増えてきています。勤怠管理システムは、パソコンやネット環境さえあれば、場所を問わず正確に管理することができます。また従業員側もパソコンやスマホ、タブレットなどで手軽にシフト確認が可能です。その他にも、不正防止、人事担当者の集計・計算作業の効率化、従業員の入力・申請作業の簡略化、人事と管理職の労務管理の負担軽減などさまざまなメリットがあります。

 

まとめ

労働時間と勤務時間は基本的に異なるものです。また所定労働時間や法定労働時間などの区分は間違いやすいので、注意する必要があります。働き方改革が進む昨今、企業や人事には労働時間を正確に把握し、管理することがますます求められるようになってきました。また、労働時間に関しては従業員とトラブルに発展するケースも少なくありません。これを機会に正しい知識を持って、より一層適切な対応を心掛けていきましょう。

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