2022.09.09
振替休日と代休の違いやルール、運用上の注意点について解説します。
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『振替休日』と『代休』は何が違うのか?
振替休日と代休はとても似ている言葉ですが、まったく異なる意味を持っています。振替休日とは、予め休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日にすることです。事前に休日と労働日を入れ替えているため、休日に働いたことにはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。一方の代休とは、予め休日と定められていた日に労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものです。前もって休日を振り替えたことにはなりませんので、休日手当として35%の割増賃金の支払いが必要となります。このように両者の最大の違いは、入れ替えるのが「事前」か「事後」かという点と、割増賃金を支払う必要があるかという点になります。
また代休の場合、特に法定休日に働いてもらうときには、労働者との間で36協定を締結し、労働基準監督署へ「時間外労働・休日労働に関する協定届」を提出しなければなりません。一方の振替休日に関しては、36協定の締結は必要ありませんが、その代わりに、就業規則に振替休日に関しての規定を作っておくこと、振替休日を明らかにしておくこと、できるだけ元の休日に近接した日に振り返ること、振り替え先は前日までに通知することなどの要件を満たす必要があります。
振替休日でも割増賃金を支払うケースとは?
振替休日でも例外的に割増賃金が発生するケースはあります。週を越えて休日と勤務日の振替を行った場合には、割増賃金を支払わなければなりません。それはなぜでしょうか。そもそも労働基準法では、1日8時間、1週40時間を法定労働時間と定めており、それを超えると割増賃金が発生します。つまり1日8時間、週40時間の会社が振替休日を同じ週内で取得していれば問題はありませんが、翌週以降で取得した場合は、1週間の労働時間が48時間となり、時間外労働となる8時間分の割増賃金が発生するというわけです。こうしたことからも振替休日を利用する場合は、できるだけ同じ週内の平日を振り替えることが望ましいとされています。
振替休日や代休の溜めすぎには要注意
休日出勤をしたら、休日出勤に相当する賃金を支払うのが大前提ですが、振替休日や代休の場合、代わりに与える休日の賃金(100%)と相殺して、割増部分の35%や25%のみを支払うことで処置するケースが少なくありません。そのため割増賃金のみを支払い、肝心の振替休日や代休が未消化のまま溜まってしまうと、労働基準法違反になってしまいます。振替休日や代休は速やかに付与することが大切です。もし未消化分が累積してしる場合は、早期に休日を消化させるか、未消化分の賃金を支払って清算しましょう。
まとめ
企業規模や業種によっては、繁忙期などにどうしても従業員に休日出勤をお願いせざるを得ないケースもあるでしょう。そのときに振替休日や代休に関して従業員と事前に協定を結んでいなかったり、間違った認識のもと間違った運用をしてしまうと、あとあと大きなトラブルにも発展しかねません。そうしたことを回避するためにも、これを機会に正しい知識や運用方法を理解していただき、いざというときのために備えておくことが大切です。