2022.07.07
副業・兼業の違いとは? 定義やメリットについてわかりやすく解説します
副収入やキャリアアップ、新たな人脈形成に繋がるなど、労働者にとってメリットが多いのは言うまでもありませんが、実は企業にとっても、労働力不足が深刻化する中、従業員の成長機会や新たな人材確保の手段となるため、昨今では容認する企業、受け入れる企業が増えてきました。
そこで今回は、副業・兼業それぞれの定義や、注目される背景、さらに得られるメリットや導入事例などをご紹介します。
Table of Contents
副業と兼業の違いとは?
副業と兼業については、法律的に明確な違いはありませんが、 一般的には次のような使い分けがされます。
副業とは、本業に従事していない時間を有効活用し、本業とは別の仕事に従事すること。本業と比べると収入・時間・労力が少ないことが特徴で、副収入を得ることのほか、スキルアップや人脈づくりなど本業に活かせる要素を得ることを目的とする傾向があります。
一方、兼業とは、本業以外の仕事を2つ以上、同時に掛け持ちしている状態を指し、副業に比べて事業性が高いのが特徴です。例えば、一方を本業、もう一方を兼業とするケースもあれば、すべての仕事に同じくらいの労力や時間をかけるケースもあります。いずれにせよ副業よりも大きな収入を得られることが多いです。
なぜ今、副業・兼業が注目されているのか?
昨今、副業や兼業が大変注目されていますが、その背景には、加速する働き方改革と、労働者側の働く環境や価値観の変化が挙げられます。
国をあげて働き方改革の取り組みが進む中、2018年に厚生労働省がモデル就業規則を改定。その中で、「労働者は勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と記載し、大きな注目を集めました。
そしてこれを機に、原則として会社員の副業・兼業が解禁されたのです。
一方で労働者側も、コロナ禍などで収入面の不安を抱えている人が増えており、収入の補填策として副業・兼業に注目が集まっています。加えて、働き方の多様化やテレワークの広がりによって、副業・兼業に挑戦しやすい環境も少しずつ整ってきています。
副業・兼業がもたらすメリットとは?
副業・兼業には、「労働者」と「労働者が本業として所属する組織」と「副業の受け入れ先となる組織」の、三者にとってそれぞれ大きなメリットがあります。
「労働者」にとっては、収入はもちろんのこと、本業だけでは得られないさまざまな経験を通じ、キャリアアップや人脈づくり、新たなやりがいなどがもたらされるでしょう。
また「労働者が本業として所属する組織」にとっては、従業員が社内では得られない経験やスキル、知識を持ち帰ることで、従業員の更なる成長とともに、イノベーションの創出にも繋げられます。
そして「副業の受け入れ先となる組織」にとっては、優秀な人材を獲得できるとともに、新たな視点や価値観を取り入れることで、プロパー社員 の意識改革やスキルアップに繋げることが可能です。
特に地方の企業においては、深刻化する人材不足に対応しながら、地方にはない都市部ならではのアイディア等を取り入れることができるでしょう。
大手企業の副業・兼業取り組み事例
ここで実際に副業・兼業を導入している企業の取り組み事例をご紹介します。
まず1社目は、ヤフー株式会社の事例です。同社は、ニューノーマルを見据えた「オープンイノベーションの創出」を目的に、自社以外で本業に従事する人材=ギグパートナー(副業人材)の募集を2020年7月から開始し、応募者4,500人以上から選出された10歳~80歳までの104名を採用しました。職種は「事業プランアドバイザー」(91名)、「戦略アドバイザー」(10名)、「テクノロジースペシャリスト」(3名)で、いずれも原則、業務委託という形でオンラインで仕事をし、一人ひとりが異なる経験、異なるスキルをもたらしています。
2社目は、みずほフィナンシャルグループの事例です。
みずほフィナンシャルグループでは2019年10月から社員の副業・兼業を解禁しました。メガバンクとしては初めての副業解禁でしたが、その背景には、働き方改革の推進とともに、社員一人ひとりが「社内外で通用する人材バリュー」を最大化していくという狙いもあったようです。
具体的な取り組みとしては、「社外兼業」制度や、業務時間外に自ら業を営む「副業」制度を導入。自社と競合しないこと、他社では雇用契約ではなく業務委託の形で仕事をすること…などが条件となっています。導入後、1年半で約300名の社員が新たな取り組みを始めており、社員一人ひとりが自律的に学び、挑戦していく意識は着実に浸透しています。
まとめ
副業とは一般的に、主となる仕事とは別に仕事を持つこと、本業の傍ら空いた時間を活用して他の仕事を行うことを言います。本業と比較して、かける労力や時間が少ないため、結果的に得られる収入も少ないのが特徴です。
一方兼業とは、本業以外の仕事を掛け持ちすることを言い、なかにはどちらが本業なのか、明確に区別していない人もいます。また副業と比べ事業度がより高く、会社に勤務しながら個人で事業を本格的に経営するケースも少なくありません。
近年、働き方改革の一環として、政府が副業・兼業を推進する一方、労働者側もコロナ禍などによって収入や労働環境、価値観に変化が起こり、副業・兼業に対する関心やニーズが高まっています。副業や兼業は、労働者にとってはもちろん企業にとってもメリットが非常に多いです。人材の流動化や働き方の多様化が進む今日において、社内外の人材を有効活用するために、また社外との交流や協働が生み出すイノベーション創出のために、副業・兼業はより一層重要になっていくでしょう。