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コラム

2022.10.05

法定”外”残業の定義と基本的なルールや注意点について解説します

“残業”には法定内と法定外の2つの種類が存在します。両者の一番の違いは、会社側が残業した従業員に対して割増賃金を支払う義務があるかどうかということ。法定内残業の場合、割増賃金を支払う必要はありませんが、法定外残業の場合は支払わなければなりません。また法定外残業に関しては、残業代の計算方法が非常に複雑なうえ、労働形態や役職・立場によって対応が異なるため注意が必要です。本記事を参考にぜひ基本的な知識やルールをしっかりと押さえておいてください。

まずは基本的な定義を知っておこう

法定外残業とは、法定労働時間を超えて行った残業のことを指します。労働基準法第32条では労働時間の上限を原則、「1日8時間、1週40時間」までと定めており、これを超えた残業が法定外残業となるわけです。
例えば、9~19時(休憩1時間)まで働いた場合、労働時間は9時間となり、法定労働時間の8時間を差し引いた1時間が法定外残業となります。また1週間に50時間働いた場合は、法定労働時間の40時間を10時間オーバーしてしまっているため、法定外残業は10時間となります。

似た言葉に法定内残業がありますが、こちらは法定労働時間は超えていないものの、会社が決めた所定労働時間は超えた残業のことを指します。

では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
それは残業した時間に対して割増賃金を支払う義務があるかどうかという点です。法定内残業の場合、割増賃金を支払う必要はありませんが、法定外残業の場合、割増賃金を支払わなければなりません。

 

ケース別に特殊なルールが存在する

法定外残業に関しては、導入している労働制や対象者の立場により扱いや考え方が異なるので注意が必要です。以下に、制度別・立場別の違いをご説明します。

【フレックスタイム制の場合】

フレックスタイム制の場合、残業時間を1日単位では決めません。法定労働時間の総枠を超過した時間を残業時間と見なします。

【変形労働時間制の場合】

変形労働時間制で勤務する従業員に対しては、残業時間を以下のように捉えます。

◎1日単位

労働時間が8時間以上で定められている日は、その時間を超えた分。
労働時間が8時間以内で定められている日は、8時間を超えた分。

◎1週間単位

労働時間が40時間以上で定められている週は、それを超えた分。
それ以外の週は、40時間を超えた分。

◎1カ月単位

変形労働時間制の対象期間の法定労働時間を超えた分。

【裁量労働制の場合】

裁量労働制とは、実際に働いた時間に関係なく、企業と従業員の間で取り決めた「みなし労働時間」をもとに、賃金を支払う制度です。1日の労働時間が1時間で終わろうと、もしくは5時間に及ぼうと、「みなし労働時間」が8時間と定められている場合は、労働時間は8時間となります。したがって残業という概念自体が存在しません。しかし、「みなし労働時間」が法定労働時間を超えている場合や深夜勤務・休日勤務などに限り、法定外残業として扱われます。

【管理監督者の場合】

割増賃金は原則すべての労働者に支払われるものですが、管理監督者のみ例外となります。労働基準法上、「労働時間・休日・休憩の定めが適用されない地位にある者」とされているため、法定外残業や休日労働に対して割増賃金を支払う必要はありません。しかし、深夜労働に関してのみ割増賃金が発生しますので、注意してください。

 

実際に残業代を計算してみよう

前述したとおり法定外残業を行った従業員に対しては、所定賃金に割増賃金を加えた額を支払わなければなりません。また割増賃金の割増率は、労働形態によっても異なります。
例えば、法定外残業は25%、深夜労働は25%、休日労働は35%、法定外残業+深夜労働の場合は50%です。
これを踏まえて、法定外残業の残業代を計算してみましょう。

計算式は以下のとおりです。

1時間あたりの賃金額×法定外残業時間数×1.25(割増率25%)

法定外残業代を計算する場合、まずは1時間当たりの賃金額を算出する必要があります。

・1時間当たりの賃金額
=月給÷1ヶ月の平均所定労働時間
・1ヶ月の平均所定労働時間
=(365日-1年間の所定休日日数)×1日の所定労働時間÷12

では、例えば以下のようなケースでは、残業代はいくらになるのでしょうか。
月給:42万円
年間休日数:127日
1日の所定労働時間:8時間
法定外残業:2時間

この場合の1ヶ月の平均所定労働時間数は、
(365日−127日)×8時間÷12≒158時間ですので、1時間あたりの賃金額は42万円÷158時間≒2658円。
したがって残業代は、2658円×2時間×1.25≒6645円となります。

 

法定内残業との混同に注意

「法定内残業」と混同しやすいので、くれぐれも注意してください。所定賃金を支払うだけでよいのが「法定内残業」、割増賃金を加えなければいけないのが「法定外残業」です。
また通常の割増率は25%ですが、深夜労働(25%)、休日労働(35%)、法定外+深夜(50%)など、ケースによって割増率が変動することも覚えておきましょう。
(関連コンテンツ:法定”内”残業の定義と基本的なルールや注意点について解説します

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