資料請求・お問い合わせ

コラム

2022.05.27

タレントマネジメントの基礎知識とシステム選定のポイントについて解説します

労働人口の減少が深刻化する中、企業が生き残っていくためには、今いる従業員の能力を最大限に引き出すことが求められます。そこで鍵を握るのが、タレントマネジメントです。これは自社の抱える従業員の持つ能力やスキルに着目し、採用・配置・評価・教育などの人事施策を統合的に行う人材マネジメントの手法で、近年は日本でも多くの企業が導入し始めています。そこで今回は、導入することで得られる効果やメリット、導入時の注意点、タレントマネジメントシステムの選び方などを解説いたします。

労働環境が変わり、組織と個の関係性も変わりつつある

 タレントマネジメントとは、自社が抱える従業員のタレント情報(能力、スキル、経験値など)を一元管理することによって、戦略的な配置や育成、キャリア開発へと繋げていくマネジメント手法です。もともとは90年代のアメリカにおいて、自社に優秀な人材を定着させ、育成するための効果的な手法として広がった概念ですが、日本においても10年ほど前から徐々に注目されるようになり、現在では多くの企業がタレントマネジメントを導入しています。日本で導入が進む背景には、何より組織と個の関係性が変化していることが挙げられるでしょう。人手不足や労働市場の流動化、働き方の多様化が進む昨今、従来のように「人が辞めてしまったら補填すればいい」という発想では、もはや企業運営は立ち行きません。これからの人材マネジメントは、第一に今いる人材を大切にするというスタンスで、組織と個が対等な関係性を築き、その中で一人ひとりにフォーカスした人材育成や人材活用を行うことが求められます。そしてそのためには、人材を取り巻くさまざまな情報を集約し、その人材のパフォーマンスを最大化させるタレントマネジメントが不可欠なのです。

 

タレントマネジメントのメリットと4つの導入プロセス

 では、タレントマネジメントを導入することで、企業には具体的にどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。1つ目は、人材の適正配置です。個人の持つ才能や経験値などがデータとして登録され、より客観的かつ科学的に評価した配置が可能となります。2つ目は、リーダー候補を筆頭とした人材育成です。将来にわたって組織を牽引していける人材を選別し、より計画的な育成が実現できます。そして3つ目は、エンゲージメントやモチベーションの向上です。個にフォーカスした人材マネジメントやキャリア開発を促進することで、従業員の仕事に対する意識や姿勢が変わることが期待できるでしょう。また一人ひとりが自分に合った働き方を選択できるようになり、より多様な人材が活躍できる機会を得られます。

タレントマネジメントを導入する際は、「目的の明確化」、「人材要件の明確化」、「現状把握」、「アクション」という4つのプロセスを踏んでいきます。まずタレントマネジメントを導入して、経営にどのように活かしたいのか、何を実現したいのかを明確にしなければなりません。導入すること自体を目的にしてしまうと、やがて形骸化してしまうので注意しましょう。目的を明確化したら、次に明らかにすべきなのが人材要件です。設定した目的に対して、どんな人材を配置したらいいのか、どんな能力が必要なのかを明確にします。そのうえで、実際にどのような人材がいるのか、現状を把握しましょう。ひとり一人の経歴や能力、性格などの情報をデータとして取りまとめ、可視化しておくことが重要です。そして最後は、必要な人材の採用、育成、適材適所への配置など、具体的なアクションを検討し、タレントの活用へと繋げていきます。

 

タレントマネジメントシステムの選定ポイントとは?

 近年は多くのベンダーが、社員データの一括管理ツールであるタレントマネジメントシステムを開発・提供しており、タレントマネジメントの運用には、今やこうしたシステムの活用が欠かせません。HR総研が2019年に行ったタレントマネジメントシステムに関するアンケート調査でも、タレントマネジメントを運用する企業うち、約7割がシステムを導入、もしくは導入予定であることがわかりました(図①参照)。さらにシステムを選ぶ基準としては、「運用コスト」や「初期コスト」といったコスト面が最も重視されており、次いで「操作性」、「機能の充足度」、「組織構成への対応可能性」などが挙げられています(図➁参照)。

図①「タレントマネジメントシステム」の導入状況

図➁「タレントマネジメントシステム」の選定基準

(出展元:HR総研:「タレントマネジメントシステム」に関するアンケート調査 結果報告)

ではタレントマネジメントシステムを選定する際は、どのようなことに留意すればよいのでしょうか。タレントマネジメントシステムは、最適配置や人材育成、組織の活性化など、目的に応じて開発されているものが多いため、まずは自社の目的に合ったシステムを選ぶことが基本です。また自社の求める要件を満たすパッケージシステムがない場合は、コンサルティングのもとカスタマイズしたシステムを導入するのも良いでしょう。そのうえで、経営層やマネジメント層など誰でも使いこなせるUIになっているか、運用コストに無理がないか、セキュリティ機能は整っているか…などをしっかりチェックする必要があります。せっかくシステムを導入しても、いつの間にか使われなくなってしまった、というケースも少なくありません。そのため、導入後にどのように普及させるのか、どのような体制で利用するのかをあらかじめ想定しておくことも重要です。

 

まとめ

タレントマネジメントは、従業員のスキルや経験値といった情報を一元管理することで、効果的な配置や育成へと繋げていくマネジメント手法です。従来のような集団的管理ではなく、従業員一人ひとりにフォーカスした個別対応となるため、より多様な人材の活躍や、エンゲージメントの向上などが期待できます。導入するにあたっては、「目的の明確化」→「人材要件の明確化」→「従業員の現状把握」→「具体的なアクション」というステップを踏み、計画的に進めることが重要です。またタレントマネジメントの運用には、データ一括管理ツールであるタレントマネジメントシステムの導入が欠かせません。システムを選ぶ際は、「目的」「使いやすさ」「コスト」といった観点から、自社の現状や課題に合ったシステムをしっかりと見極めましょう。

資料請求・お問い合わせ

お問い合わせ