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コラム

2022.09.09

休憩とは? 労働基準法における休憩の基本ルールについて解説します

休憩は仕事の合間にひと息つける、労働者にとっては欠かせない時間ですが、実はそんな休憩時間にも法律で細かいルールが定められています。休憩に関する正しい知識や運用法を理解しておかないと、適切な休憩を与えられず、法律違反やトラブルに繋がる可能性もあるため、まずは基本をしっかり押さえておくことが重要です。そこで今回は、休憩時間の定義や労働基準法における基本ルールを解説いたします。

休憩時間の基本的なルールを知っておこう

まずは休憩時間に関する基本的な知識やルールについて知っておきましょう。労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は、少なくとも45分、8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない、と定めています(労働時間が6時間以内であれば不要)。労働基準法の基準を上回る休憩時間を与えることは問題なく、労働時間が8時間以内でも1時間の休憩を与えている会社は少なくありません。

休憩時間は、例えば1時間の休憩を「45分と15分」「30分と30分」といったように分割付与することも可能です。ただし分割すると休憩時間が短くなってしまい、ゆっくり食事を取れない、リフレッシュできないといったことも起こり得るため、休憩時間の自由利用が制限されないよう、十分配慮したうえで設定する必要があります。

また休憩時間は原則、賃金支払いの対象にはなりませんが、例えば昼休み中に電話・来客対応に追われるなどの状況に置かれた場合は、休憩時間ではなく労働時間として扱われ、賃金支払いの対象になる可能性があります。

休憩時間は雇用形態の違いにかかわらず、すべての労働者に付与されるものです。当然、パートやアルバイトも原則は変わりません。そのため、例えば45時間程度の勤務を予定していたアルバイトに急遽残業をお願いする場合は、労働時間が6時間を超えるのであれば、少なくとも45分の休憩時間を別途与える必要があります。ただし労働基準法第41条で定められている管理監督者に該当する者や、高度プロフェッショナル制度の対象労働者などは、法律上、休憩を付与しなくてよいとされています。

 

休憩に関する3つの原則

労働基準法の34条では、休憩に関して1項から3項に基づく3つのルールを定めており、これらは「休憩の3原則」と呼ばれています。具体的にどのようなルールなのか説明していきましょう。

1つ目は、「途中付与の原則」です。会社は従業員に対して、勤務時間の途中に休憩を付与しなければなりません。途中とは、労働と労働の合間の時間という意味ですから、従業員が業務開始前や終了後に休息を取ったところで、「休憩」を与えたことにはならないのです。

2つ目は、「一斉付与の原則」です。休憩時間は、原則的に一斉に与えなければなりません。一斉とは、その職場にいるすべての従業員(パート・アルバイト、派遣労働者を含む)が同時に休憩を取ることを意味します。ただし例外もあります。例えば、坑内労働、運輸交通業、商業、金融広告業、映画演劇業、通信業、官公署などの業種や、それ以外の業種でも労使間で労使協定を結んでいる場合は、一斉付与する必要はありません。ちなみに労使協定を締結する場合は、交代で休憩を与えるとともに、労使協定に一斉付与しない対象や、それらの従業員に対する休憩の与え方について定める必要があります。

3つ目は、「自由利用の原則」です。労働基準法34条では、「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない」と定めています。つまり会社が従業員に休憩を与えたときには、従業員を完全に業務から解放する必要があるのです。例えば休憩中に電話に出てもらったり、業務範囲内で些細な用事を頼むようなことも認められません。ただし、こちらも例外があります。警察官、常勤の消防団員、児童と起居をともにする乳児院や児童養護施設に勤務する職員など一部の業種に関しては、自由利用の原則は適用されません。また休憩時間中に外出をする際は許可を取らなければならないなど、規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害しない限り差し支えないとされています。

 

休憩に関わるトラブルに要注意

休憩時間に関しては、トラブルも少なくないので注意しましょう。前述した休憩時間中の電話対応などはよくあるケースです。また小さな事業所や少人数の職場では、人が足りないため、なかなか休憩が取れないといった状況も起こり得るので、そうならないよう日頃から適切に人員を配置しましょう。一方で、従業員が「休憩はいらないので早く帰宅させてほしい」などと願い出るケースもあります。しかし、たとえ従業員が「いらない」と言ったとしても、その言葉を受け入れ、休憩を与えない行為は違法となります。もし従業員に適切な休憩を与えなかった場合、会社は労働基準法違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑となるので注意が必要です。こうしたトラブルを回避するためにも、休憩に関する知識をきちんと理解するとともに、休憩時間は働かないことを職場内で徹底しましょう。

 

まとめ

休憩時間のルールについては、きちんと把握していない、もしくは順守していない企業も意外と少なくありません。特に労働基準法で定められた基本ルールと「休憩の3原則」は必須事項ですので、これを機会にきちんと理解しておきましょう。また「休憩中に仕事をさせられた」、「休憩したいのに人が足りないからなかなか取れない」といったトラブルが起きないよう、休憩ルールの社内共有や適切な人員配置などを日頃から徹底してください。

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