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コラム

2022.07.07

勤務間インターバル制度とは? メリットや導入ポイントについて解説します

長時間労働による従業員の健康リスクは、今や多くの企業にとって最重要課題の一つです。
その解決策として、勤務終了後に一定以上の休息期間を設ける勤務間インターバル制度の導入が推進されています。この制度は従業員のプライベートの時間や睡眠時間を確保することを目的としており、適正に運用されれば、従業員・企業双方にさまざまなメリットがもたらされるでしょう。
そこで今回は、勤務間インターバル制度の基礎知識やメリット・デメリット、導入におけるポイントなどを解説いたします。

勤務間インターバル制度の目的や背景

勤務間インターバル制度とは、勤務終了後、翌日の出社時間までの間に、一定以上の休息時間(インターバル)を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保する制度です。
2019年4月に施行された「働き方改革関連法」に基づき「労働時間等設定改善法」が改正され、一定時間の休息を確保することが事業主の努力義務として規定されました。
勤務間インターバル制度が生まれた背景には、慢性化している長時間労働を改善して労働者の心身の健康を守り、過労死等の問題の発生を防止する狙いがあります。また、働き方改革の他の取り組みと併せて実施することで、より一層効果が上がると考えられており、ワークライフバランスを実現させる施策の一つとしても大いに期待されています。

勤務間インターバル制度は、あくまでも事業主の努力義務とされているだけで、具体的な内容についての特段規定はありません。制度導入の決定や休息時間の長さなどは各企業の裁量に委ねられています。もちろん導入しなくとも法的な制裁を受けることはなく、また自社で規定したインターバル時間を守らなくとも法令違反になることはありません。

 

勤務間インターバル制度導入のメリットとデメリット

勤務間インターバル制度を導入することで、主に4つのメリットが得られます。
1つ目は、睡眠時間の確保に繋がること。健康経営の概念がトレンドになり企業にはその対応が求められる昨今、従業員が心身ともに充実した状態で働くためには、十分な睡眠を確保することが必要不可欠です。
2つ目は、生活時間の確保によりワークライフバランスを実現できること。オンとオフをきちんと切り替えて、プライベートの時間も充実させることで、ストレスが軽減され、結果的に仕事へのモチベーションや集中力も向上します。
3つ目は、人材の確保・定着に繋がること。働きやすい環境を提供することで、従業員のエンゲージメント向上はもちろん、リテンションの施策にも繋げられるでしょう。
そして4つ目のメリットは、上記のような効果がもたらされた結果、会社全体の生産性向上や収益向上へと繋げられるのです。

このように勤務間インターバル制度は企業にとってさまざまな利点がある一方で、課題もあります。例えば、制度を守らない従業員に対してどのように対処するのかは難しい問題です。また原則的に自社で設定したインターバル時間に拘束されるため、決算期など業務が忙しくなる時期に、人員や時間をいかに調整するかという課題もあるでしょう。さらに時間内に仕事が終わらないと、結局持ち帰り残業となってしまい、逆に睡眠時間の確保やワークライフバランスを阻害しかねないリスクもあります。その他にも、派遣会社の場合、派遣先が勤務間インターバル制度を導入しないと実現が難しい、人員確保や効率化のためIT機器等の導入が必要となる…など考慮すべき課題は少なくありません。

 

導入する際の注意点やポイントは?

制度の導入は、原則として事業主の判断に委ねられていますが、制度を導入しない場合でも、従業員の健康に配慮すべきことに変わりはありません。同様に休息時間の長さも事業主が自由に決められますが、厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」では、少なくとも9時間以上の勤務間インターバルを導入することを、成果目標として掲げています。また、設定時間は一律で決める方法が一般的ですが、従業員の通勤環境も考慮する必要はあるでしょう。企業によっては通勤時間を除いたインターバルの設定を行うケースもあるようです。

繁忙期など業務の状況によっては、どうしてもインターバルを守れない従業員も出てくる可能性があるため、例えば、努力義務として11時間で設定する一方、取得できない場合は、義務として最低でも9時間以上は取らなければいけない、といった2段階での条件設定も必要になるかもしれません。また繁忙期や緊急時に合わせて、制度を適用除外として扱うことも可能ですが、制度が曖昧になり形骸化する恐れもあるため、適用除外にする場合は条件を細かく設定しておきましょう。

 

まとめ

勤務間インターバル制度は、労働者の生活時間や睡眠時間を確保することを目的に、1日の勤務終了後から翌日の出社までの間に一定以上の休息時間を設ける制度です。この制度の導入により、睡眠時間が増え、長時間労働による過労死リスクの低下が期待されています。従業員の健康確保や、ワークライフバランスの実現、生産性の向上、優秀な人材の確保と定着など、企業が得られるメリットは少なくありません。あくまでも事業主の努力義務であり、インターバルの長さなどは各社の裁量で決められますが、導入する場合は、少なくとも9時間以上の休息時間を確保すること。また従業員の通勤環境や個々のタスクの量も考慮して設定する必要があります。中小企業を対象とした勤務間インターバル制度の助成金もあるので、導入を検討している対象企業は、ぜひ参考にしてみてください。

●働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html

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