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コラム

2022.07.07

アルバイトでも有給休暇を取得できる! その付与条件について解説します

有給休暇というと、正社員や契約社員だけが取得できる制度だと思われがちですが、実はアルバイトでも取得できます。
しかし就業規則や雇用契約書に記載をしていても、制度について詳しい内容まで理解している労働者は意外と少ないので、会社は事前にきちんと説明を行う必要があります。なお付与条件や賃金の計算方法等については、正社員と異なる部分も多く、人事でも間違いやすいので要注意です。
これを機に、アルバイトの有給休暇取得について再確認していきましょう。

アルバイトが有給休暇を付与される条件とは?

年次有給休暇とは、休んでも賃金の支払いを受けられる休暇のことで、労働基準法第39条で認められた労働者の権利です。
①「雇入れの日から、6カ月継続して雇われている」
②「その6カ月間の全労働日の8割以上出勤している」
――この2つの要件を満たしていれば、10労働日の有給休暇が付与されます。また、最初に有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、②と同様の要件を満たせば、11労働日の有給休暇が付与されます。そしてこれらの要件は正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトも対象に含まれるのです。

上記のルールをアルバイトに適用しても特に問題はありませんが、正社員よりも勤務日数が少ないアルバイトに対しては、所定の勤務時間や勤続年数に応じた方式を用いたほうが、より適切に有給休暇を付与することができるでしょう。週所定労働時間が30時間未満で、かつ週所定労働日数が4日以下、あるいは1年間の所定労働日数が48日から216日までの労働者には、下図の通りの日数が付与されます。

●パートタイム労働者(週4日以下かつ30時間未満勤務)の付与日数 
(出典:厚生労働省)

 

有給休暇取得時のアルバイトの賃金計算

アルバイトが有給休暇を取得した際の賃金の計算方法は、「通常賃金」、「平均賃金」、「標準報酬日額」の3通りあり、どの方法を用いるかを、あらかじめ決めておく必要があります。
それぞれの算出方法の詳細は、以下の通りです。

通常賃金

「通常賃金」は、出勤予定日に通常の勤務をしたとみなして計算した賃金です。例えば、時給が1000円で6時間働くとみなした場合は、そのまま6000円が支払われます。1日の所定労働時間数が一定のパート・アルバイトが数多く働く職場であれば、この方法が最もシンプルでわかりやすいでしょう。

平均賃金

「平均賃金」は、有給休暇を取得した日から遡って、直近3カ月に支払った賃金総額を、その総日数(休日を含む)で割った1日平均額です。ただし、直近3カ月間の労働日数が少ないと、賃金額が少なくなってしまうケースもありうるため、そうした場合に備えて、直近3カ月間に支払った賃金総額を、その労働日数で割って算出した額の60%と比べて、高いほうを支払う必要があります。いずれにせよ、「通常賃金」より安くなるケースが多いため、従業員にとってはメリットはあまりありません。

標準報酬日額

「標準報酬日額」は、健康保険料を計算する際の基礎となる標準報酬月額を30日で割った額です。健康保険に加入している会社であれば、各従業員の標準報酬月額を把握しているため、この方法を用いることも可能ですが、多くの企業の場合、アルバイトは社会保険には加入していないので、あまり現実的な方法とは言えないでしょう。

 

人手不足だからこそ、有給休暇を適切に付与しよう

アルバイトが有給休暇を取得したいと申し出たときに、会社側は断ることはできません。もし合理的な理由もなく拒否すれば、労働基準法第39条違反となり、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金となるので注意しましょう。そもそも有給休暇の取得は労働者の権利であり、原則として会社の承認や許可は必要ありません。「〇月〇日に休みたい」と申し出れば、希望通り休暇を取得できるのです。これを「時季指定権」と言います。

アルバイトが「時季指定権」を有する一方で、会社側は「時季変更権」を有します。「時季変更権」とは、アルバイトの有給休暇取得が会社の正常な運営に支障をきたす場合に、有給休暇の取得時期を別の日に変更できる権利のことです。では正常な運営に支障をきたす場合とは、どのようなときでしょう。例えば、代替人員の確保が難しい労働者が、希望日の直前に長期間の有給休暇を申請した場合、また複数の労働者が同じ時季に揃って有給休暇の取得申請をした場合などが挙げられます。しかし法的には、会社側の「時季変更権」よりも労働者側の「時季指定権」のほうが権利として強いため、会社は可能な限りアルバイトの希望通りに有給休暇を取れるよう、配慮・努力することが求められます。

労働人口の減少によって、アルバイトの採用難が深刻化している昨今、有給休暇を適切に付与することは、アルバイトの定着率の上昇や応募数の増加にも繋がります。したがってアルバイトの労働力が欠かせない企業にとっては、求人広告などで有給休暇付与を積極的にPRし、実際に有給休暇を正しく算出・付与することがより一層重要になっていくでしょう。

 

まとめ

アルバイトでも一定要件に該当すれば、毎年定められた範囲の日数で有給休暇を取得できます。労働基準法第39条により、会社にはアルバイトにも有給休暇を付与する義務があるのです。アルバイトには一般的に、週・年間の所定労働日数と継続勤務年数に応じて有給休暇が付与されます。有給休暇の取得に際しては原則として会社側の承認は不要であり、利用時季や目的に制限もありません。これを「時季指定権」と言います。一方で、会社側にも「時季変更権」が与えられており、アルバイトの有給休暇取得が会社の正常な運営に支障をきたす場合には、取得時期を別の日に変更してもらうことが可能です。人手不足が深刻化する中で、アルバイトの定着率やモチベーションの向上を目指すために、適正に有給休暇を付与し取得してもらえるようにしましょう。

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