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コラム

2022.02.04

打刻の重要性と、怠った場合のリスクとは? 理由や背景についても解説します

従業員が出勤や退勤をする際、その時刻を正確に把握するためにタイムカードや勤怠管理システムに時刻を打ち記す作業、それが打刻です。この打刻の重要性をきちんと理解しておかないと、適切な勤怠管理を遂行できないばかりか、企業経営・人事管理にダメージが生じるようなリスクにも繋がりかねません。そこで今回は、なぜ打刻は必要なのか、その理由や背景などを解説いたします。

打刻が必要とされる理由は、労働時間を正確に把握するため

打刻とは、出勤時刻や退勤時刻を正確に把握するために、タイムカードや勤怠管理システムに時刻を打ち記す作業のことを指します。普段から何気なく行われている打刻ですが、そもそもどうして打刻が必要なのか、ご存知でしょうか? 打刻が必要とされる理由は、ただ一つ、従業員ひとり一人の労働時間を正確に把握・管理するためです。
企業には従業員の労働時間を正確に把握する義務が労働安全衛生法によって課せられています。そして労働時間を正確に把握するためには、従業員が出勤や退勤の際にその時刻を記録することが欠かせません。つまりタイムカードや勤怠管理システムに打刻するのは、そのためなのです。

ちなみに、ここで言及する労働時間とは、『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』によって「使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定められています。したがって、ガイドラインの定義を文字通り解釈すると、例えば自主的に定時よりも早く出社し、タイムカードを押して仕事をしたり、あるいは定時を過ぎても打刻せずに、遅くまで残業を続ける場合は、自主的な勤務外労働と見なされ、正しい労働時間に含むことはできません。しかし、例外もあります。会社から具体的な指示がなくても、どうしても残業せざるを得ない状況に追い込まれたときなどは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」と見なされるのです。つまり自主的な勤務外労働であっても、黙示の指示・命令によるものと認められる場合は、残業代請求の対象となります。

 

働き方改革関連法施行により客観的記録取得の義務が強化

労働時間の管理方法は、従業員が自ら出勤時刻や退勤時刻を出勤簿に手書きで記入する、つまり自己申告制の時代が長らく続きました。そうした中、2001年に労働基準法における基発339号『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について』が発令されます。これを機に企業は客観的な記録を持って労働時間を適正に把握・管理することが求められるようになったのです。やがて労働時間の管理方法はシステム化が進み、効率性や正確性、即時性がより一層重視されるようになっていきました。

働き方改革が叫ばれるようになる中、2017年には厚生労働省が基発01203『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』を発表。企業は、労働時間の正確な把握や、勤怠システムなどを利用した客観的記録の取得が義務化され、さらに2019年の働き方改革関連法施行後は、それらの義務がより強化されていきました。労働時間をより正確に把握する必要性があるのには、こうした背景があるのです。

 

労働時間を把握・管理できていないと、どのようなリスクがあるのか?

では、従業員の労働時間を把握・管理できていないと、どのようなリスクが想定されるのでしょうか。まず、最初に留意したいのは、時間外労働の上限規制に抵触するリスクです。働き方改革関連法において残業時間の上限は、原則として月45時間、年360時間とされています。仮に臨時的な特別の事情があって、労使が合意する場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内(2カ月平均、3カ月平均、4カ月平均、5カ月平均、6カ月平均)、月100時間未満を厳守しなければなりません。もし違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれもあります。しかも上記のように複数月平均が設定されるなど複雑な規制となっているため、労働時間を正確に把握できていないと管理や対応が難しくなるでしょう。

労働時間を正確に記録できないと、給与の支払いが不正確にもなりかねません。給与は労働時間をベースに計算されるため、出勤時刻や退勤時刻の記録に間違いがあると、給与計算も正しく行えなくなります。また、正しい打刻によって出勤時刻や退勤時刻を正確に把握できていないと、実際の労働時間と記録との間に生じる乖離を管理しきれず、場合によっては未払いが発生する可能性も出てくるでしょう。

さらに労働時間を正しく把握できていないと、サービス残業や長時間労働にも気づかず、最悪の場合、そこから従業員の健康不安を招くなど労働災害にも繋がりかねません。過重労働対策やメンタルヘルス対策のためにも、日頃から労働時間を正確に把握し、管理することが必要不可欠なのです。

 

まとめ

打刻は、従業員ひとり一人の労働時間を正確に把握・管理するために必要な作業です。労働時間の管理方法は、手書きの時代から、タイムカード、システムの導入へと変遷し、その過程において法整備も進み、現在企業は労働時間の正確な把握や、勤怠管理システム等を活用した客観的記録の取得が義務化されています。もしも従業員の労働時間を正確に把握・管理せず、時間外労働の上限規制に違反した場合、罰則が科せられるケースもあり得るでしょう。また労働時間を正しく把握・管理できていないと、未払いが発生したり、長時間労働の温床となり、従業員の健康不安を招くなどのリスクにも繋がりかねません。こうしたさまざまなリスクを回避するためにも、日頃から正確な打刻を徹底させましょう。またそのために勤怠管理システムを導入するのも選択肢の一つです。

 

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