掲載内容は取材当時のものとなります。
2025.07.22
トヨタ車体株式会社
システム刷新は、
業務変革・改善のチャンス
1974年の誕生以来改善を重ねてきた出退勤管理システム「TIME-3X」。
システムを導入した企業に、「TIME-3X」を選んだ理由や、その後の労務管理や働き方の変化を伺います。
トヨタ車体はトヨタグループの商用車・ミニバン・SUVの領域で完成車両メーカーとして、企画・開発・生産を行なっています。トヨタ自動車のバン事業を担う存在として、また福祉車両や超小型BEV「コムス」などの新しいモビリティを生み出すトップランナーとして歩んできました。そんな同社が、新たに導入したのが「TIME-3X」です。
職種や職場ごとに、非常に多様な勤務体系を持つゆえの煩雑な労務管理に悩んでいた同社に、システム選定の経緯や現場の変化、今後の展望についてお聞きしました。
導入事例インタビュームービー
COMPANY DATA
トヨタ車体株式会社
1945年創業、トヨタグループの商用車・ミニバン・SUVの完成車両メーカー。効率的でフレキシブルな開発・生産体制によって、新しい発想のクルマを生み出している。従業員約18,000名、国内8拠点。子会社は国内10拠点、海外8拠点を展開。
ハイエース、アルファード/ヴェルファイア、ランドクルーザー、ノア/ヴォクシーなどを開発・生産・製造。
変革期を迎えた自動車業界とそれを取り巻く社会を支えるために、これまでに培った技術と新たな挑戦を組み合わせ、時代の先を見据えた事業と取り組みを推進している。
PROFILE
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内藤 良一さん
人事部 人事室 就業管理グループ グループ長
導入当初はトヨタシステムズに出向し、システム会社の立場からTIME-3Xの選定、導入に関わる。 -
鈴木 智哉さん
人事部 人事室 就業管理グループ 主任
労務管理業務の主担当としてより良い運用を目指し、就業管理システムの維持・改善を推進中。 -
小池 智恵子さん
人事部 人材開発室 人材育成グループ 主任
導入チームのリーダーとして、構想・要件検討の牽引やオプション導入判断にも注力。 -
小野田 光輝さん
人事部 人事企画室 労政グループ
導入チームの主要メンバーとして従業員への理解活動や導入後の運用確立を手掛ける。
50以上の勤務形態を
1つのシステムで管理したい
まずはTIME-3X導入の経緯について教えてください。
カードリーダ
弊社自社製造のカードリーダ「MiEVAH7700」。勤怠打刻以外に休暇申請、勤務実績参照が可能。
内藤さん(以下敬称略) 旧人事システムはレガシーシステム(ホスト)で構築されており、保守期限が間近に迫っていました。これを機会に仕事の質と生産性の向上を目指し、就業管理をはじめとした人事管理、給与計算を含めた全ての人事システムの刷新に踏み切りました。
小池さん(以下敬称略) それまでの当社の就業システムは、自社でスクラッチ開発した2種類と、関係会社がスクラッチ開発した1種類を各本部が使っていました。工場の生産部門、開発部門、それ以外の組織で3種類の別システムを使っていたんです。各々の部門で働き方や繁忙・閑散期が違うので、先人が各部署の都合に合わせてシステムを作り上げていったのだと聞いています。
小野田さん(以下敬称略) 当社の従業員は、国内の3拠点に18,000人ほど。勤務パターンは、連続2直勤務や3直交替勤務、バックオフィスなど、トータルで50種類ほどあり、製造業の中でも例を見ないくらい多いと思います。こうしたさまざまな働き方を管理するのは骨が折れました。心のどこかで、1つのシステムでフォローするのは諦めていたところもあるかもしれません。
鈴木さん(以下敬称略) さらに、就業を管理するシステムと、年休を管理するシステム、工場の稼働カレンダーは別のシステムなので、変更や申請がある場合には各システムを参照しながら、手入力をしていました。年度末などには、就業システムと年休システムの実績が一致しないこともあり、その調整に追われることもありました。
そうした課題を認識した上で、どのような観点でシステムを選定しましたか。
内藤 当時、私はトヨタシステムズ様に出向しており、トヨタ車体のシステム導入サポートをしていました。就業システムの選定にあたっては、数社のベンダー様にRFPを提示させていただき、主に「提案力(導入実績)」「機能」「費用」の3つの観点で比較をしました。特に「機能」面は重視したポイントです。今後のシステム維持・管理を考えると、アドオン機能を入れるのは極力避けたかったからです。導入実績、費用に加え、トヨタ車体の機能・業務要件に対してのシステム標準機能の適合率は、TIME-3Xが最も優れていました。
小野田 一部の他のベンダー様からは、パッケージ仕様に運用を合わせることが前提での提案をいただくこともありました。しかし、従業員が抵抗なく使えて、マネージャーも仕事がしやすくなることで、新しいシステムの恩恵を感じてほしかったので、なるべく運用を変えずに使えることは重要でした。さらにトップ画面に情報が集約されており非常に見やすく、直感的に使えるインターフェースにも好印象を持ちましたね。
トヨタグループへの理解と
手厚いサポート
導入までの苦労はありましたか。
小池 MSRの担当者が、当社の勤務形態、勤務場所などの多様性を非常によく理解して、導入に向けてさまざまな提案をしてくださったのがありがたかったです。例えば、工場の生産部門は従業員全員分のPCがなく、各グループリーダーのPCで残業や年休の代理入力を行っていたのですが、各従業員がスマートフォンから入力できるようにしたらどうか、というご提案を頂きました。情報漏洩などの点で個人のスマートフォンの管理が難しいことや、全員への社用スマホの配布は現実的でなかったことから、実現こそしませんでしたが、その後の検討を経てMSRのカードリーダを活用した、残業や年休申請、実績参照の運用を提案いただきました。各職場の実情をよく理解してくれていたからこそのアイデアだと思います。導入までの長い期間、二人三脚でサポートしてもらい、納得のいくシステム仕様を作り上げられたことを本当に感謝しています。
小野田 小池さんが言う通り担当者のサポートは手厚くて、導入直後のトラブル解決に向けて、助けていただいたことが忘れられません。実は導入直後に人事担当のオペミスによってシステム利用を止めざるを得ないトラブルを発生させてしまいました。ひっきりなしに問い合わせを受けながら、復旧対応に必死でしたが、MSRさんの親身な支援のお陰で、なんとか乗り越えることができたと思います。原因特定から再発防止の施策も、すぐに実施していただきました。
労務管理の質向上、
36協定の申請フォローも容易に
導入後の変化は感じますか。
勤務実績画面
自分自身の月次の勤務状況を一覧で確認可能。同機能から休暇の申請、エラーデータの解消、実績参照を一画面で実施可能。直感的な操作で従業員が抵抗なく利用可能
鈴木 まず、当初の課題であった複数のシステムを使用しなければならない状態は改善されました。また、自分の勤怠実績や年休取得状況、残業時間など、全ての情報が1画面で見られるので、わかりやすいですね。従業員一人ひとりが自分の勤務状況について、意識できるようになっていると思います。
内藤 それまでは各々のシステムを確認しなければならなかったものが、マネージャーメニュー(マイページや労務管理チェック機能)で全て見渡せるようになったので、マネージャーの労務管理業務も大幅に改善されたと思います。工数管理の機能が充実しているので、実績の管理だけでなく先々の計画も立てやすいですし、チームメンバーの残業時間実績を見ながら、予定を組むこともできます。また、当社では労使で「年休カットゼロ」という取り組みを行っています。有給の取得を推進するために事前に取得計画を立てるのですが、今までは紙で管理を行なっていました。TIME-3Xが導入されたことで、メンバー全体の有給取得状況や、個人の実績・計画を一覧で見ながら、コミュニケーションが図れるようになりました。上司×メンバー間の会話のきっかけにもなっていますね。
小池 管理がしやすくなっているという点では、36協定の申請も非常にやりやすく、漏れのない処理が可能になったと思います。それまではマネージャーがチームメンバーの勤怠データを確認してから、別システムで申請をしていました。しかし、TIME-3Xでは残業が月45時間を超えるとアラートが出るような仕様にしています。各部署で働き方や繁忙期が違うため、人事部門からは申請が必要な状況なのか判断できず、なかなか確認や催促ができない面もありましたが、アラートが注意を促してくれるので、確認や申請につながってとても便利ですね。
内藤 さまざまな申請フローの中で、マネージャーの承認が必要な場合も、アラートが出るんですよ。日々忙しいマネージャーにスムーズに承認をしてもらえるようになったのも良い点です。
小池 しかもその承認や変更が、リアルタイムで確認できます。以前のシステムは、人事部の入力後、夜間バッチ処理を経てようやく反映されるものもありました。以前はきちんと反映されるのか、問い合わせも多かったですし、間違った登録をしても発覚が遅れてしまうことも多々ありました。
就業環境の変化に柔軟な対応を
続けるための相棒
TIME-3Xを導入して2年ほど経ちますが、課題や今後の展望はありますか。
鈴木 ちょうど今、就業規則の一部変更を進めている最中で、これに合わせてシステムを調整していく予定です。当社では工場で作業をする際、従業員は作業着に着替えます。その着替え時間を就業時間として効率的に管理できる機能を実装するため、追加の画面や計算ロジックなどを検討しているところです。こういった変更・改修はもちろん、想定外のエラーが出るといった、マニュアルではフォローされていない事象が起こってしまった場合にも、担当者が素早く丁寧にサポートしてくれるので、安心です。
内藤 今後もこうした就業規則の変更や改善は発生しますし、年月を経て、システムのバージョンアップも必要となるでしょう。そうした場合に、できるだけ負荷の少ないメンテナンスや改修ができるように、標準機能に加え、オプション機能を充実させ、最低限のアドオンに留めました。そうした選択肢が可能だったことも、選定の決め手になったと思います。また、運用をできるだけ変えずに新システムを導入してきましたが、どうしても運用を変更しなければならない部分もありました。しかし、変更によって運用のムリ・ムダが省かれ、運用自体の改善につながった例もあります。もともとは人事系システムの更新をきっかけに着手した就業システムの刷新でしたが、これを業務変革・改善の契機にできたことは、思わぬ成果でしたね。これからも社会や会社の状況に合わせてアップデートしながら、TIME-3Xを長く使いやすいものにしていきたいです。
トヨタ車体様ご活用イメージ
マイページ
自分自身の勤務実績、年休取得状況、残業時間などを一覧で把握可能。トヨタ車体様ではオプション機能を活用しWeb打刻時の在宅勤務申請などを実施。従業員一人ひとりが自身の勤務状況を一目で把握し労務意識の向上につながっている。
労務管理画面
残業状況、36協定状況、休暇の取得状況など各マネージャーが自組織配下の労務状況を一覧で確認が可能。トヨタ車体様では「年休カットゼロ」の取組に対して配下の従業員の休暇取得状況を確認のため休暇残情報を掲示。自動で休暇取得状況や残日数が表示されるため、手集計等による労務負荷を軽減し、年休取得のためのコミュニケーションが円滑にできるようになった。
工数実績入力
製造業様向け工数入力オプション機能。日々の勤務実績に対して各作業の工数実績を入力し適切な工数管理のサポートを行う。トヨタ車体様ではチームの残業時間実績を見ながら予定管理を行っている。